長門湯本REPORT:大寧寺にて「新春献湯式」が開催されました
新年1月4日、大寧寺開山堂にて、温泉の恵みに感謝を捧げる新春の「献湯式」が開催されました。この儀式は、江戸時代に行われていた「大寧寺に祀られている尊い方丈様方に、年初めの恩湯のお湯をお供えする儀式」であり、大寧寺、長門湯守株式会社、長門湯本温泉まち株式会社の尽力により、このたび百数十年ぶりに復活しました。
長門湯本温泉の開湯は室町時代の1427年とされており、大寧寺の第三代住職である定庵殊禅(じょうあんしゅぜん)禅師が住吉大明神のご神託によって発見したとの伝説が残ります。開湯時に発見されたとされる源泉は、現在も外湯施設「恩湯」内で確認でき、住吉大明神が祀られています。
午前11時、普段は非公開の開山堂にて、大谷和弘さん(長門湯守共同代表)、木村隼斗さん(長門湯本温泉まち株式会社エリアマネージャー)、大谷峰一さん(長門市観光コンベンション協会会長)、第16代坂倉新兵衛さん(坂倉新兵衛窯)らが参列し、儀式が始まりました。
伊藤就一さん(長門湯守共同代表)の司会のもと、厳かに儀式が進行される中、大寧寺の第五十三代住職である岩田啓靖住職が入堂。本堂に祀られた五代尊に、恭しく布巾と「湯壺」を供えました。この湯壺は献湯式のために坂倉新兵衛さんが作陶したもので、恩湯から早朝に汲み出された初湯が納められています。続いて岩田住職による読経が行われ、参列者は五代尊の前で焼香し、温泉の恵みに深く感謝を捧げました。
約30分間にわたる献湯式は滞りなく終了。岩田住職は「長年途絶えていた伝統ある儀式が、若い皆さんの尽力で再び開催されたことを大変嬉しく思います」と感謝の意を述べられました。
開湯以来、深いつながりを持つ大寧寺と長門湯本温泉。このような伝統行事の復活は、地域の歴史と文化の結びつきを一層深めるとともに、地域の魅力を広く発信する貴重な機会となることが期待されます。