長門湯本NEWS:深川萩 坂倉新兵衛窯にて坂倉正紘さんが十六代坂倉新兵衛を襲名
長門湯本温泉にほど近い山あいの集落「三ノ瀬(そうのせ)」は、360年以上の歴史を持つ萩焼・深川萩(ふかわはぎ)の里として知られています。
2024年5月27日(月)、三ノ瀬の五軒の窯元の一つ「坂倉新兵衛窯」の後継者である坂倉正紘さんが「十六代 坂倉新兵衛」を襲名され、十五代新兵衛さんは「一渓(いっけい)」と名を改めることが、先人への仏前報告とあわせて報道・メディア関係者に報告されました。会場となった坂倉窯には、多数の新聞・TVなどのメディア関係者が訪れ、長門市が誇る伝統工芸である深川萩への強い関心が伺えました。
仏前での報告では、萩焼深川窯創業から縁の深い曹洞宗大寧寺の岩田啓靖老師による読経が行われたのち、坂倉家、新兵衛窯のみなさんが厳かに先祖への感謝を捧げました。仏壇の上には、十二代、十四代の坂倉新兵衛さんの遺影が飾られ、脈々と続く深川萩の伝統が引き継がれていく様を見守っているようです。
萩焼深川窯と坂倉新兵衛窯:萩焼深川窯は、1657年 萩藩の御用窯として、現在の山口県長門市深川三ノ瀬の地にて開窯。坂倉新兵衛窯は、萩焼の開祖である李勺光(りしゃっこう)の跡目として、作陶を代々続けてきた名門窯として知られています。当主は代々「新兵衛」の名を受け継ぎ、”萩焼中興の祖”と呼ばれた十二代新兵衛は国の文化財保持者、十四代、十五代も山口県の無形文化財保持者として、萩焼の発展に大きく寄与してきました。
仏前報告を終えた二人はメディアへの会見に答え、坂倉一渓さんからは「無事に十六代に引き継ぐことができたことを感謝している。岩田ご住職にいただいた『一渓』の隠居号で、今後も作陶を続けていく。」との言葉がありました。
また、十六代坂倉新兵衛さんからは「窯や萩焼の伝統的な技法や素材や様式と、自らの創意工夫を柔軟に合わせながら、品格を感じられる作品を作っていきたい」との抱負が語られました。坂倉新兵衛さんは、来年3月から全国各地で襲名披露の作品展を予定しています。
毎年初秋に温泉街で行われる「うつわの秋」や、深川萩ギャラリーカフェ「cafe&pottery音」など、長門湯本温泉と深川萩は強い結びつきを持っています。今後もこの地域が誇る大切な伝統工芸「深川萩」が、さらなる発展を遂げることを心より祈っています。