長門湯本NEWS:ながトークvol.29レポート〜塩満直弘さんと語る『山口三都 旅へと続く道 萩編』〜

毎回、自分らしいスタイルで街を面白くする人々をゲストに迎え、その話を聞くトークイベント「ながトーク」。今回は、5月に発刊されたトラベル・ライフスタイル誌『PAPERSKY』の山口特集を記念して、萩市から塩満直弘さんをお迎えしました。塩満さんは、萩市出身で、地元を拠点にさまざまな地域プロジェクトを立ち上げてきた方です。
塩満さんの「ながトーク」登壇は、2017年以来2回目。今回のトークでは、これまで手がけてきたゲストハウス「ruco」・小さなまちのkiosk「Agawa」・角島の近くに四季の茶屋「UTTAU」などの事業の背景と、地元・萩への思いを語ってくれました。
「迷ったときは、自分が率先して楽しむ。恩師にそう言われたのが大きかったですね。」そんな一言から始まる塩満さんの物語は、まさに“自分がまず楽しむ”という姿勢に貫かれています。「山口県を訪れる個人旅行客は、萩や下関など目的地を明確にして動く人が多い。だからこそ、その動線上に新たな山口県の楽しみ方を提案していきたい」。そう語る塩満さんの視点は、観光と地域のあいだに新しい可能性を描いていました。
「どこにいても仮の感覚だった。拠点と感じられる場所が、やっぱり萩だった。」萩に戻った理由をそう語る塩満さんは、「通ったことのない道はないんじゃないか」と笑います。幼少期から習い事などを通して地域と関わり、多くの人とのふれあいを経験したことが、今の活動の土台になっているといいます。そのひとつひとつの体験が、今の自分の原点になっていると語ります。
いくつもの旅先でさまざまな出会いを経た今、「自分を通して萩を好きになってもらえたら嬉しい」と塩満さんは言います。「僕らもまだ知らない萩の魅力を、訪れた人の視点で気づかせてもらえることがある。ゲストハウスはたまたまの手段であって、大切なのは“目的の先にある風景”をどう届けるかだと思っています。」
初めての海外生活。言葉もわからないまま入ったカフェで、指差して頼んだチョコレートに「それ、私も好き」と返してくれた店員のひと言。たったそれだけで、「この街に住めそう」と思えたのだといいます。「土地の印象は、人とのやりとりの中で決まっていく」。そんな実感があるからこそ、「自分も萩に対して責任がある」と感じているのだそうです。
その感覚は、rucoでゲストに手渡す手描きの地図や、スタッフとの対話にも息づいています。宿そのものが、街とのつながりをつくる入り口になっているのです。
イベントの終盤、「以前、長門湯本に来たとき、川で遊ぶ子どもたちの姿を見て“これが事実だ”と思ったんです。きっと彼らはこの土地のことを忘れないし、将来もどこかで関わり続けてくれる。そう思ったら、希望を感じた」と塩満さんは話しました。
今回のながトークには、萩、下関、そして地元・長門から約30名が参加。夕暮れの広場には、笑い声とたくさんのうなずきがあふれていました。
ちょうどこの夏からは、「萩・長門おとずれ号」も走り始めて、萩と長門がぐっと近くなりました。今回のような出会いをきっかけに、行き来がもっと増えて、お互いのまちがもっと好きになれるような関係が育っていくといいなと思います。
塩満さん、ご参加くださった皆さん、これからもよろしくお願い致します。
