長門湯本温泉 公式観光サイト

長門湯本REPORT:町じゅうが笑顔になる夜。はじめての長門湯本温泉納涼盆踊り大会

長門湯本温泉に移住して1年半。昨年は荒天で中止となった「納涼盆踊り大会」に、今年初めて参加しました。
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山口県長門市・長門湯本温泉に、子どもたちと一緒に移住してきて、1年半ほどになります。
昨年も楽しみにしていた「納涼盆踊り大会」は、残念ながら荒天のため中止に。だから今年の第61回納涼盆踊り大会が、私たち家族にとって初めての参加となりました。
盆踊りと聞いて、私がなんとなく想像していたのは、広場の真ん中に櫓があって、その周りをみんなで輪になって踊るような風景。
でも、長門湯本の盆踊りはまったく違いました。

温泉街全体が、盆踊りの会場になるのです。

音信川沿いの道を進み、橋を渡り、また温泉街の中を踊りながら歩いていく。約700人もの人が長い列になって、長門湯本の町を巡りながら踊る光景は、初めて見る私にはとても新鮮で、驚きの連続でした。

前を見ても人、人、人。振り返っても、ずっと踊りの列が続いています。
子どもも、大人も、おじいちゃんも、おばあちゃんも。地域に住んでいる人も、この日のために帰ってきた人も、きっと初めて訪れた人も。
みんなが同じ音楽に合わせ、同じ振り付けで温泉街を進んでいく。

そして何より印象的だったのが、みんな、本当に楽しそうに笑っていること。

普段の長門湯本温泉は、川の流れる音が聞こえ、夕暮れになると灯りがぽつぽつとともり始める、どこか落ち着いた大人っぽさのある町です。
そんな、いつもの少し静かな町が、この夜ばかりはまるで別の場所のよう。
あちらこちらから笑い声が聞こえ、沿道から声援が飛び、踊る人たちの熱気で町全体がいっぱいになる。

「長門湯本って、こんな顔もするんだ」
そう思うと、なんだかうれしくなりました。

実は、この一体感は当日突然生まれたものではありません。
本番のおよそ1週間前の夜には、盆踊りの練習会が開かれます。
練習会に参加してみると、集まっていたのはなんと200人ほど。

そして、みんなで約1時間、しっかり踊ります。これがまた、想像していた以上に真面目な練習なのです。
振りを確認しながら、何度も何度も繰り返す。子どもたちも大人たちの真似をしながら一生懸命踊り、最初はぎこちなかった動きも、だんだん揃ってきます。
盆踊りのために、これだけの人が夜に集まって、一緒に練習をする。
その光景を見ながら、「この町では、盆踊りは見るものではなく、みんなでつくるものなんだな」と感じました。
だからこそ、本番であれだけ大勢の人が同じ振り付けで町を巡り、あの不思議なほどの一体感が生まれるのかもしれません。

移住して1年半。
まだ知らない長門湯本の習慣や、初めて見る景色はたくさんあります。

今回、子どもたちと一緒に盆踊りの列に入り、温泉街を歩きながら踊ってみて、ただ「お祭りに参加した」という以上のものを感じました。
いつも歩いている道を、大勢の人と一緒に踊って歩く。
いつも渡っている橋を、音楽に合わせながら渡る。
知っている人を見つけて手を振ったり、知らない人とも同じ踊りを踊ったり。
そうしているうちに、自分たちも少しずつこの町の中に混ざっていくような感覚がありました。

移住してきた私たちにとって、地域のお祭りに参加することは、その土地のことを知るひとつの入り口なのだと思います。

静かで美しい、いつもの長門湯本も好きです。
でも、一年に一度、町じゅうの人が外へ出て、みんなで踊って、笑って、大盛り上がりする長門湯本も、とてもいい。

子どもたちにとっても、私にとっても、またひとつこの町の好きな景色が増えた夜になりました。
来年はきっと、今年よりもう少し上手に踊れるはず。
そう思いながら、今から次の盆踊りが少し楽しみです。

 

文:土田由里